アーティストとして生きるための言葉 – 土岐先生から学んだこと
はじめに
今日は、僕の大学時代の恩師である「土岐先生」からもらった、アーティストとして生きていくための大切な言葉について話したいと思います。

家の本棚に挟んであったしおりを取り出した時、そこに書かれていたノートの言葉を見つけて、改めてその重要性を感じました。時間が経っても色褪せない、とても大切な教えだったので、皆さんにもお届けしたいと思います。
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土岐先生って誰?
僕は建築の大学を出て、今はダンスをやっているのですが、土岐先生は僕のゼミの担当ではありませんでした。「find me」という学生有志団体で、お世話役のような感じでいてくれた先生です。
現在も宮城大学にいらっしゃる(はず!?)方で、ガンダムのザクを真っ赤な漆で塗って販売していることで有名な、ちょっと変わった先生でした(笑)。
僕が入学した2006年当時、大学ができて10年という新しい大学で、まだ不安定な部分もありましたが、「新しいことをやろう」という気に満ち溢れた場所でした。そんな環境の中で、土岐先生は特に異端で、アーティストの背中を押してくれる存在でした。
就職しなければいけないという社会的風潮や同調圧力がある中で、「なんで就職するの?」と最後まで問い続けてくれる先生だったんです。
心に残る言葉たち
1. 「アーティストはどんな時も笑っていなければいけない」

これは僕が一番覚えている言葉です。
大学3年生の時、建築会社に入るかダンサーとして東京に出るかで悩んでいた頃、何人かで集まって話している時に聞いた言葉でした。
アーティストは表現者として、自分の発見や思考、考えを相手に届けられる形で表現します。その時、当然自分の意見を言うので、アンチや難癖をつけられることもあります。
生きていると、誰しも等しく辛いことがあります。その時でも、アーティストは自分の作品を作ったり届けたりすることに対して、前向きでいる必要がある。
ダークサイドに落ちることがあっても、最終的にはそれを自分なりの筋の通った作品に昇華していく。そういう意味での「笑っていよう」ということなんです。
この言葉から僕が受け取ったのは、どんな偉人でも笑顔になれない時があるという事実です。それでも笑顔でいなければいけないということは、裏を返せば笑顔になれない現場に陥ることが多々あるということ。この認識が、今でも僕の糧になっています。
2. 「わかってもらえないのは環境が寒いだけ」
2008年11月24日のノートより:
自分の作品。どこに行っても変わらないスタンス。 わかってもらえない。でもその表現は間違いではない。 環境が寒いだけ。いろんなところで見てもらおうよ。
自分が確信を得たものを否定されることがあります。わかってもらえる環境や仲間に出会えない時もあります。
でも、それは自分の表現がダメなのではなく、周りの環境や仲間の方に問題があるということ。「環境が寒いだけ」という表現が印象的でした。
だから、いろんなところで発表しよう、ということですね。
3. 「京都は才能を育てる場、東京は消費する場」
これも何度も言われた言葉です。東京で振り付けなどの仕事をしているけれど、何かを育むことの方がアーティストにとっては大切だと。
17年経った今振り返ると、僕はわかってもらえる環境や仲間に恵まれて、ぬるま湯に浸かっているかもしれません。もっと自分で何かを育むことに時間を使う必要があるのかもしれませんね。
4. 「食えてはいけないけど、生き生きしている」
ノートより:
食えてはいけないけど、プロに見劣りはしていなかった。 昔の偉人も食えてはいなかった。 やりたいことができる、食えていけないけど、生き生きしてる。
アーティストにとって重要なのは、まず自分のやりたいことに出会うこと。そして、それを育むことに時間を費やせることを楽しいと思えることです。
食べていけないかもしれないけれど、やりたいことができて生き生きしている。そういう状態にまず出会うことが大切なんですね。
5. 「大切なことを拾ってくるのが芸術家」
ノートより:
大切なこと、それを拾ってくるのが芸術家。 表現、伝える大切なこと、それを拾って表現伝えるのが芸術家。
世の中には大切なことがたくさんあります。環境のこと、気持ちのこと、様々な社会問題。そういった大切なことを見つけて拾って表現するのが芸術家の役割。
僕の場合は、人間の「思い出」や「思い」というものがとても重要なパーツだと感じています。それがダンスと結びついている。
6. 「開放的になれることがやりたいこと」
2008年11月29日のノートより:
不安なのは不安。 伝えるやっていて開放的になれることがやりたいこと。
周りに理解してもらえるかわからないから不安。でも、その不安はあまり関係ない。
大切なのは、自分が大切にしていることをやることによって、自分が開放的になれるということ。それがやりたいことなのかもしれません。
今思うこと
これらの言葉をもらったのは大学3年生の時。「find me」という学生有志団体で、影やプロジェクターを使った作品を作っていた頃でした。
僕はダンスを影と組み合わせて踊ったのですが、自分と自分の影との共演、その共鳴の仕方がとても楽しかった記憶があります。
17年経った今、改めてこれらの言葉を読み返すと、とても深い意味があったのだと感じます。特に今の時代、テクノロジーが進歩する中で、人間の思いや思い出といったものの価値はますます重要になってきているのかもしれません。
アーティストとして、そして一人の表現者として、これらの言葉を胸に刻んで歩んでいきたいと思います。
皆さんも、自分にとって大切なことは何か、一度考えてみてください。そして、それを表現することで開放的になれるなら、それがあなたのやりたいことなのかもしれませんね。
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