児玉裕一監督との仕事で感じた「攻め込む」クリエイティブの魅力

2025 / 05 / 21

こんにちは!久しぶりのラジオ配信です。

今回は、大学時代から名前を知っていた映像監督の方と一緒にお仕事させていただく機会があったので、その体験談をお話ししたいと思います。一言で言うと「とにかく楽しかった!」なんですが、それだけじゃもったいないので、発見したことを皆さんにもお届けしようと思います。

椎名林檎さんの旦那さんとして有名な児玉裕一監督

今回一緒にお仕事させていただいたのは児玉裕一監督。椎名林檎さんの旦那さんとして知っている方も多いかもしれませんね。

でも僕にとっては、2008年に話題になった「ユニクロック」の監督として印象深い方なんです。当時僕はまだ学生でしたが、あの作品は本当に衝撃的でした。

2008年「ユニクロック」が示したインタラクティブデザインの先駆け

今から17年前の2008年って、まさにインタラクティブデザインが出始めた頃だったんですよね。

昔のテレビ放送は基本的に一方通行のコミュニケーションで、視聴者参加といえば番組最後の「応募はがき」くらいでした。でも今はYouTubeのコメント欄があるし、テレビでも視聴者がリアルタイムで投票できるシステムがありますよね。

僕が通っていたデザイン系の大学は割と先端的なことをやっていて、当時からFirefoxブラウザを使っていたような環境でした。そんな中で出てきたのが「ユニクロック」だったんです。

従来の広告って、どうしても「押し付ける」感じの強さがありました。でもユニクロックは、時計という実用的な機能を果たしながら、ユニクロのブランドイメージ(シンプルで質の良い素材、コラボしやすい親しみやすさ)を自然に伝えていました。

人間が体で数字を表現して、それが時計として機能する。その面白い動きの繰り返しで時間が進んでいく仕組みが本当に革新的でした。当時の広告賞でもトップクラスの評価を受けていて、僕の大学でも話題になっていました。

児玉監督の魅力:人を喜ばせることへの本能的な衝動

実際に一緒に仕事をしてみて感じたのは、児玉監督が僕の友達のゆうじくんにすごく似ているということでした。人を喜ばせるのが好きで、人がワクワクしてもらえれば「オッケー」みたいな、そういう根底に流れるものがある人なんです。

特に印象的だったのは、監督の「悪い顔」です。悪いことをしようという意味じゃなくて、「企んでる」ようなワクワク感。「これを仕掛けてやろう」みたいな、本能的に何かのギリギリを狙っていく感じがありました。

第一線で活躍する人の「攻め込む」姿勢

映像制作の現場って、監督といえども一つ変更すると各部署に確認を取らなきゃいけない複雑な仕組みがあります。でも児玉監督は「なんか思いついた!」みたいな感じで、「これいこっか」とどんどん攻め込んでいくんですよね。

この「攻め込んでる感じ」が、やっぱり第一線でやってる人だなって思わせました。「まだ来んのか」みたいな、その粘り強さと積極性が本当に面白かったです。

自ら体で示す監督の姿勢

僕は振り付け担当として現場にいたんですが、児玉監督は自らが動いて見せることが多かったんです。

普通なら僕が出るタイミングで、監督ご自身がセリフを言って動く。もちろん監督はダンサーではないので身体的な技術は持っていないんですが、頭の中にあるイメージがすごく鮮明なんですよね。

それを技術に頼らずに、思いだけで体で表現する。実際、ダンス的な観点から見てもちゃんと動けているんです。

技術を超えた「伝える力」

これって本当にすごいことで、ダンサーも学ぶべきところだと思います。イメージが溢れているけど技術は持っていない、でも「こうだ!」という感じでやり遂げる。それが、タレントさんや実際に動く人たちにちゃんと伝わるんです。

しかも100人くらいのエキストラがいる中でやるんですから、やっぱり天才だなって思いました。僕にはなかなかできないことです。

下積み時代が生んだ「全部自分でやる」精神

後でWikipediaを調べてみたら、児玉監督は地方のテレビ局で自分でテロップ入れから編集まで、映像制作のあらゆることを一人でやってきた方なんですね。

撮影現場でもその精神が出ていて、編集専門の方がいるのに「ここもっとクリップ詰められるでしょ」「いけるいけるいける」と言って、自ら編集作業に手を出し始めるんです。もちろん他の監督も口は出しますが、実際に自分で触り始める人はなかなかいません。

細かいところまでワクワクする姿勢が印象的でした。美術スタッフがいても「これよ、いいんじゃね」と言って自分でも手を動かす。そういうことが節々に現れるんです。

美的センスと遊び心が生み出すクリエイティブ

最終的には美的センスなんでしょうが、自分のワクワク感や遊び心、美的感覚を大切にして、それをちょこちょこと色んなところに散りばめていく。そうやって完成していく映像が本当に面白かったです。

僕も現場で割と攻め込んでいったんですが、それに応えてくれる感じもあって、クリエイティブな突っ込みあいができた現場に関われて本当に面白かったですね。

おまけ:最近のモーションキャプチャーの仕事について

話は変わりますが、最近はコロナ禍ぐらい忙しくて、朝早くから夜まで仕事をする日々が続いています。

新しくモーションキャプチャーの仕事にも片足を突っ込んでいるんですが、これがまた難しいんです。

普通のダンスは踊れればいいんですが、モーションキャプチャーは最終的に自分ではない何か(ぬいぐるみやアニメキャラ)に動きが使われます。そのキャラクターの性格に合わせて動きのテイストを変える技術が必要なんです。ワイルドなキャラ、おしとやかな女の子、ムキムキの男性キャラなど、それぞれに合わせたダンスを考える必要があります。

これもすごく面白い分野なので、また機会があればお話ししたいと思います。

それでは、また次回のラジオでお会いしましょう!