ダンサーが語る「走れ★星の王子メロス」観劇レポート
こんにちは!今日は世田谷パブリックシアターで観た「走れ★星の王子メロス」について、語らせてもらいます。
サーカス×演劇の新しい形
この舞台、メインキャストがサーカスベースの人たちで構成されていて、とにかく芸達者!子供向けに作られているとは思うんですが、大人にしかわからない面白さもあって、なかなか奥深い作品でした。
隣に座っていた4〜6歳くらいの子が途中で寝たり本を読み始めたりしてたので(笑)、やっぱり子供には最前列の方がいいのかもしれませんね。生の迫力を間近で感じられるし。
サーカスといっても、世田谷パブリックシアターのステージはそんなに広くないので、空中ブランコがビューンと飛ぶようなスケールではなく、大車輪みたいな装置でぐるぐる回るくらいの規模感。でもそれが逆に親しみやすくて良かったんです。
ストーリーよりもフィジカルで魅せる
正直、ストーリー展開はちょっとよくわからない部分もありました(笑)。でもそれでいいんです!すごくアート的で、言葉で理解するというよりは、体で感じる舞台でした。
メロスが友情のために走ってたどり着くという基本軸に、星の王子様要素が宇宙的なスケールで絡んでくる感じ。1時間半の公演で、約3分ずつのシーンを20個くらいテンポよく回していく構成でした。
子供は50分くらいが集中の限界みたいですね。僕も正直50分あたりで携帯チェックしちゃいました(笑)
一番印象的だった客入れタイム
何より印象に残ったのが、開演前の客入れ時間。ステージ上で一人の男性出演者が子供たちと即興でやりとりしていたんです。
「どうやって立てばいい?」って四つん這いの状態から子供たちに問いかけて、子供たちが「足を上げて!」とか指示するんですが、男性はわざととんちんかんな反応をする。すると子供たちが感情的になって「違う!こうして!」ってどんどん熱くなっていく。
これって、YouTubeとか広告でよく使われる「感情を刺激する」手法ですよね。良くも悪くも人の心を操作する演出なんですが、生の舞台で目の前のお客さんとダイレクトにやりとりしながらそれをやるのは、すごく新鮮でした。
舞台って本来そういうものかもしれませんが、用意されたものではなく、その場で生まれるコミュニケーションの面白さを感じました。
子供たちのワークショップ演出が秀逸
僕が行った回では、子供たちが参加するワークショップコーナーもありました。8〜10人くらいの子供たちが10分程度のパフォーマンスを披露するんですが、その演出方法がとても勉強になりました。
まずは団結から
メロスが「壁があるな」と言うと、子供たち全員で壁を表現。右を向いたり左を向いたり、体幹を使った動きをみんなで合わせます。
これ、古代の狩猟前の儀式じゃないですが、みんなで同じ動きをすることで一体感が生まれるんですよね。オーストラリアの踊りとか、そういう「一致団結」の原理です。ミラーリング効果というか、脳が「仲間」と認識する仕組みを上手く使った演出だなと感じました。
段階的な抽象化がうまい
心のウォームアップができたところで、今度は個々の表現へ。
- バナナ(みんなイメージしやすい形)
- ケーキ(ちょっと抽象度UP – シフォンケーキ、ショートケーキ、モンブランと多様)
- 好きな食べ物(完全に自由)→ 結果的に事前ワークショップで出た「でっかい納豆」に
この段階的な流れが絶妙でした!
海のシーンが圧巻
大きなビニール(ゴミ袋の巨大版みたいな)を子供たちの上にかぶせて、バサッと起こすと波のように。音響効果も加わって、本当に海の中にいるような演出でした。
子供たちはそれぞれ好きな魚になって泳ぎ、最後は大きな魚と戦うストーリー仕立て。僕たちの団体でも似たようなことやってるんですが、音楽の使い方や道具の活用法がとても参考になりました。
最初と最後をしっかり締める
最後は全員一列に並んで、名前が書かれたプレートの前に立ち、手をつないで挨拶。リハーサル通りの安定感で、スタートと終わりをきちんと意識した構成が素晴らしかったです。
プロパートは多彩な才能の宝庫
本編で一番好きだったシーンは、黒い衣装のエアリアル(空中)パフォーマーが吊るされた布2本でぐるぐる回りながら、床では一輪車の人が回転している場面。友達のふゆきくんがオペラのような歌声を披露して、会場が一番盛り上がりました。
印象的だった演出たち
異次元ワープ演出 幅広の紐に照明を当ててピンクの蛍光色にし、4人で四隅を持って引っ張る。形を変形させることで、まるでSFの異次元ワープのような視覚効果を作り出していました。
ローラースケート×バイオリン 音楽隊の一人が、ローラースケートを履きながらバイオリン演奏!少年隊の楽曲だったと思うんですが、これがもうクレイジーでした。
貴族的なバイオリンと、やんちゃなローラースケートの組み合わせ。高級なイメージと少年的な遊び心のコラボレーションが一体となっているのが最高でした。
嫌な気を吸うシーン 小さなストローでお客さん一人一人の「嫌な気」を吸うパフォーマンスから始まり、最後は巨大ストローで客席全員の嫌な気を吸う謎のシーン(笑)。説明は少なめでしたが、後半になると意味がわかってくる仕掛け。
お客さんがちょっと恥ずかしがりながらも、そこをちょうどいい塩梅でつついてくる。この「抜け感」というか、ふざけ具合のバランスが絶妙でした。
エンターテイメントの本質を見た
この舞台から学んだのは、オリンピック選手のような超絶技巧を目指すのではなく、「見ている人を楽しませる」エンターテイメント性の追求です。
プロ中のプロには勝てないし、そもそもそういう方向を目指していない。でも、ピアニカを弾いたり、ファンベール(布を使った踊り)をしたり、そういう「ちょっとした特技」を2〜3個持っているだけで、すごく魅力的になるんだなって感じました。
多種多様な才能が集まって、それぞれの個性を活かしながら一つの作品を作り上げる。これぞエンターテイメントの醍醐味ですね。
自分の活動にも取り入れたい
普段、子供向けのワークショップに関わっているんですが、今回の観劇で得たヒントを自分の活動にも活かしたいです。
今まではリトルマーメイドの音楽に振り付けを作って子供たちに覚えてもらうスタイルだったり、鬼滅の刃の「紅蓮華」で3分間のパフォーマンスを作ったりしていました。でも瞬時に覚えるのは子供たちにとって大変だし、もっと自由な表現を引き出せる方法があることがわかりました。
取り入れたいポイント
- 大人がセリフでストーリーを作り、子供たちを自然に誘導していく手法
- みんなで同じ動きから始めて、段階的に個性を発揮させる流れ
- 最初と最後をしっかり揃えることで安心感を与える演出
- 生演奏をBGMとして柔軟に使い、子供たちの表現に合わせる
水曜日のクラスで、ちょっとトライアルでやってみようかな。
まとめ
50分くらいで子供は飽きちゃうものですが(僕も正直そうでした笑)、それでも1時間半最後まで楽しそうにしている子供たちを見て、演出の力ってすごいなと改めて感じました。
チーム名は忘れちゃったんですが、友達が出演していたこともあって観に行った舞台でした。2025年8月11日にも公演があるそうなので、興味のある方はぜひ!
サーカス×演劇の新しい可能性を感じられる、とても刺激的な舞台でした。エンターテイメントって、技術の高さよりも「人を楽しませたい」という気持ちが一番大切なんだなって、改めて思わされました。
2025年8月10日観劇 / 世田谷パブリックシアター

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