中国の大学生とのワークショップを終えて。素晴らしいグループワーク能力“分担“、“指揮”、“空間の使い方”

中国の大学生総勢60名弱との身体表現創作ワークショップに関して、
なかなかのカルチャーショックだった。(自分に知見がないだけかも)

二日間に分かれて行ったワークショップ。初日が20名弱、二日目が40名弱。

共通して驚いた点がある。

ワークの後半では、30〜40分をかけてグループ創作をして発表してもらうのだが、その段取りとリーダーシップと構築に驚かされた。
私の推測だが、背景に10億を超える人口があるように感じた。
そのため競争力、大人数との集団行動に慣れた空間認知能力、それに伴う指揮系統やグループワークの頻度の多さと抽象的なことの構造的理解力などが日本の大学生と比較して長けているように感じた。

さて、彼らが具体的にしたことから、見ていてワクワクした創造的なところを掘り下げてみたい。

一つ目に、3人、6人、9人とその場でグループになり、お題を体で表現するワークがある。
ここで、グループになることへの抵抗感のようなものが少ないように感じた。(参加者は初対面同士であった)どこにいってもそうなのだが、男性は男性、女性は女性で安易に組みたくなる。これに関しては、今回も多少見受けられたように思う面もあるが、何も考えることないように見えるほど、パパパとチームを作る。
多くの日本でのワークショップでは、「どうしよう。」という心の声が聞こえて、考える時間が生まれる。その人生のラグみたいなものがなく爽快に私には感じた。(ここでは、良いとか悪いとかいうことを述べるつもりはない。私の感想として受け取って欲しい。)
このラグの積み重ねは、10億人を超える国での競争としては、命取りになるのかもしれないなと感じた。
次に、作る作業においてだ。偶然、人が足りず私が人数埋め合わせとして6人のグループに入った。
お題は「車」であった。中国語による会話が繰り広げられる。
ほんの3秒もしないうちに、“私が運転して”、“彼女が歩いてきてアクシデントが起きる”、“車輪は誰がやる?”みたいなことになっていた。3秒である。多めにみて8秒以内だ。これには驚かされた。最終的に私は、車輪をやると名乗りをあげ、車輪の向きや動きについて、もう方輪の人にやり方を相談した。
ここで驚いたことは二つある。
一つ目は、指示の速さだ。やりとりの言語がわからないため推測だが、指揮を取る人がパッと現れていたように思う。そして、それぞれの役割を分解してまとめてみんなに相談するのである。のちのストーリーの創作にもこのような“分担“のうまさが垣間見れた。
二つ目は、空間の認知能力の高さである。私が車輪を名乗り出た時、もう1人も方輪をやると一緒になった。車の進む方向と、4輪のうちのどのタイヤをやるかのイメージが食い違った。私としては、アクシデントを見せることの見せやすさを考えて方向とタイヤの位置がこっちの方がいいと伝えると、すぐに理解して行動にうつした。この名乗り出てからのやりとりが、体感でほんの10秒ほどである。進む方向が変わり、タイヤの位置も変わると、体を使ってタイヤがどのように回転するとそれっぽく見えるのかが、大きく変わる。この脳の認識はなかなか複雑なことをしているように思う。私は、CMの現場などプロフェッショナルに指導もするが、イメージもなかなか伝わらないし、体もなかなか理解してもらえないことがある。もちろんその時は日本語である。今回、私は中学生英語レベルで相手とのコミュニケーションをしてしかいないのだが、本当にこれには驚かされた。また、のちの創作でもこの“イメージの共有“、“空間の使い方の共有”が長けているため、ストーリーを構築する際の場面の設定、空間の使い方も瞬時にやりとりしていたように思う。