脳の大統一理論を読んで

2023 / 06 / 10

(個人的な視点や意見が入っています)

【脳は推論するシステム、運動も推論である】p37
・自分の脳はある事柄を確率的に予測し、現実との差を修正していく。
つまり見ていないのに、見ることができるということである。
ダンスの振り付けを作るときに、動いてもないのに、経験的に動きが浮かんできたり(イメージや音楽などの環境によって浮かぶ)する。
これを実際に動いてみたり、動画に撮ってみたりすると、自己評価がイマイチであったり、動いている中で、新たな動きが反射的に生まれてくることがある。
前者は、現実との差に大きなギャップがあり、頭の中のイメージが更新される手掛かりとなる。
後者では、(特に音楽にのって実際に動いてみる場合、時間は止めることなく進み続けるような場合)脳のイメージを超えて、考えもなく(体の物理的な仕組みや動きの流れの影響もあるが)ダンスの振り付けが決定されることがある。

【身体運動と内臓運動】
ダンスなどの発表の本番前に緊張するのは、多くの人が経験したことがあること。これは、本来、人間は、ホメオスタシスという恒常的に身体や内臓の状態を保とうとすることを、環境要因によって身体内部を変化させるために起きることである。これは、環境による身体への変化を事前に準備するために緊張があるということである。この時も、未来に来る環境を脳は推論している。

【感情はどのようにして作られるか】
人間は、感情と自律神経の反応、内臓状態の変化に関係がある。
人間には、6つの感情(怒り、恐れ、悲しみ、幸福、驚き、嫌悪)がある。
怒り、恐れ、悲しみ・・心拍数の上昇
怒り・・・体温の上昇
悲しみ・・血圧上昇、心拍の不規則、呼吸の減少、涙の分泌

【期待自由エネルギー】
期待自由エネルギー=(マイナス探索)(マイナス利益報酬)(マイナス好奇心)の和
不確実性を最小化する能動的サンプリング(探索)が行われ、サンプリングを通じて、正確な生成モデルが学習される。

【自由エネルギー=(複雑さ)(マイナス正確性)】p89
説明力が高く(正確性)、単純なもの(複雑でない)が理想。
正確なモデルは複雑化してしまうから、バランスが大切。
アルベルト・アインシュタイン「何事もできる限り単純化しなければならないが、必要以上に単純化してはいけない」
振り付けはとても説明力が高いが、瞬発力がなく、柔軟性も低く、踊り手らしさが生まれる表現力も減り、踊り手の創意工夫や創造性に欠けてしまう。
創作表現を促す方法として、細かなことは置いて、大きな方向づけが望ましいように思う。
例えば、空間の向き、色や温度などの動きの質感など、メッセージ性などの感情が個人的には、重要である。
運動の行為が、身体の内部に変化をもたらすことを考えると、リズムや身体の形や運動を意識的に取り入れることも大切。

単純だけど、少しあいまいが丁度いい。
ダンス創作作品(内容)=N個シーン×(ストーリー(空間の位置と移動+イメージの質感))
これを推論して、実際に行動(ダンス)し、足りない部分(リズムや質感など)を補い修正して作品にしていく。
ダンス表現(表現方法)=体の角度による感情+重心移動+運動による熱量

【統合失調症は感覚減衰の障害】p100
自己運動時に感覚減衰が起こらない(感覚のフィードバックが起きない)と“させられ体験“に感じてしまう。逆に感覚のフィードバックがあると、自己主体感が生じる
具体的な例を挙げると、健常者は、自分で出した大きな声と録音された同じ大きさの声を比較すると、自分の出した声は小さく感じる。これは感覚のフィードバックによって、感覚減衰が起きているためである。
(研究では、)感覚のフォードバックが徐々に起きないようにすると、感覚信号の相対的な精度が高くなり、運動目標が書き換えられ、体の動きが小さくなってしまう。これは、準備に準備を重ねて想定しすぎることにより、実際に実行することへの誤差が生じてしまうことなのではないか。まずはやってみることの大切さを証明しているように思う。踊りに関しては、実際に体を動かすことによる発見を楽しむことが大切な一例かもしれない。また、色々と説明してイメージしてもらうより、具体的な指示でまずは動いてみることが大切なのかもしれない。

分散σ(エントロピーの増加)の逆数1/σを「精度」と呼び、精度を高めることを「注意を向ける」という機能に相当する。

ベイス推論の公式
①(未来の予測)=現在の予測+【予測の修正量】
②【予測の修正量】=(感覚信号の精度 / 感覚信号の精度+予測信号の精度)× 現在の予測誤差信号

→つまり、感覚のフィードバックに注意を向け、それが信頼できると(分子がデカくなるので、予測誤差を重視して)、予測を修正しようとする。
逆に、感覚に信頼がないときは、(予測誤差は無視されるので、)推論を維持する。

実際に“感覚減衰“が起きることとして、長時間同じところに刺激を与え続けると感覚が鈍くなってくる。これに関しては、急に自由に踊ることには精神的な抵抗があるが、動きのワークを長時間行うことで、動くことへの感覚減衰が起きて、動くことへの抵抗がなくなることに近いのかもしれない。


AIに自己主体性を高める方法について質問したところ以下の回答を得られた。
“自己主体性を高める方法は、自分に自信を持ち、活躍できる場を用意し、自ら動かなければならない環境を与えることが効果的です。また、子どもの自主性を伸ばすには、ハグをして気持ちに寄り添い、興味を持つことに肯定してあげることが大事です。さらに、社員の自主性を高めるには、自己認識力を高め、キャリアを築けるようにサポートし、顧客重視の姿勢を持たせることが良いでしょう。“
つまり、受け入れられていると思う環境(コミュニティ)と、自分が何を成し遂げたいかを認識していること(アート性)が大切ということかもしれません。

自分が人生を通して何を成し遂げたいかを探求探索できるコミュニティを作ることはダンスの分野に求められていることの一つに思う。

では、どのように探索するのだろうか。
自分が興味を持っていることに、なぜそれに興味があるのかを体を動かしながら問い続けることがある。
どのように体を動かすのか。
①関節を認識する、②イマジネーションのような動きのガイドを感じる
、、、、

【赤ちゃんも推論する】p110
赤ちゃんが期待に反する物体を見たときに、それについて良く観察し、その物体をより多く探索し、その振る舞いに関連する仮説を調べた。具体的には、物体が壁をすり抜けたものを見た時、赤ちゃんは物体を叩く行動をとったなど。つまり、期待した隠れ原因を探索することで感覚入力を生じさせ、サプライズを小さくしようとした。(サプライズがあったということ)
ダンスにおける学習として、人間の何かすごい表現をみる。その理解を超えた運動のサプライズを小さくしようと探索するのかもしれない。