ILLIT『I Got Your Back』の振り付けに感動した話——「大丈夫、振り向いたらここにいるさ」の5歩目がすごい
DanceVerseです。
今日はILLIT(アイリット)の『I Got Your Back (feat. JISOO, MOMOKA of HANA)』について語らせてください。踊ってみたを撮ってたんですけど、途中でめちゃくちゃ感動しちゃったんですよね。
歌詞が日本語なので、歌詞と振り付けの意味がダイレクトに刺さってきて。プロとしてダンスをやってる立場から見ても「これはすごいな」と思ったので、その話をします。
結論から言うと、ここが一番感動しました
「大丈夫 振り向いたらここにいるさ」
このパートです。ここがもう、めちゃくちゃいい。
なんでいいのかを説明する前に言っておくと、ここ実はそんなに難しくないんですよ。ショート動画でサビ&アウトロの踊ってみたを上げているので、ゆっくり練習すれば誰でも踊れるようになると思います。ぜひ踊ってみてほしい。
5歩目に「もう一回」行くんですよ
最初、ここちょっと踊りづらかったんですよね。
足を5回踏むんですけど、普通なら「大丈夫」で一回止めるんですよ。「大丈夫」で区切って、「振り向いたら」でまた別の文節として区切る。だからワン・ツー・スリー・フォーで終わるのが自然なんです。
でもこの振り付け、そこでファイブって、もう一回行くんですよ。
……マニアックすぎて伝わらないかもしれないんですけど、これがすごいんです。区切らずに、もう一歩踏み込んでくる。この一歩があることで、「大丈夫」が言い切りじゃなくて、ちゃんと相手に向かって進んでいく言葉になるんですよね。
踊ってて、「あ、味方がいるんだな」ってすごく思いました。自分でも。
「ここにいるさ」の間、ずっと止まってる
もうひとつ、ここの振り付けで好きなポイントがあって。
「振り向いたら」で後ろを向くんですけど、そのあと「ここにいるさ」と歌っている間、ずっと止まってるんですよ。動かない。
この静止がね、めちゃくちゃいい。ヒーローが登場してくれる感というか。踊ってると、この止まってる時間が突き刺さるんです。
だから、これは見るというより体験型のMVだと思います。ぜひ実際に踊って体験してほしい。
現代だからこそ刺さる歌詞
なんで自分がここまで感動したのかを考えてみたんですけど、たぶん今の時代の話でもあるんですよね。
インターネット越しに、比較的匿名でやり取りをしている中で、なんとなく不安だったり、見えないものに怯えていたりする人って、けっこう多いと思うんですよ。
そこにこの「大丈夫、振り向いたらここにいるさ」ですからね。自分も安心するし、相手にも安心してもらいたいなって思える。ILLITの魔法少女感、これは正義ですよ。小学校の頃の正義感みたいなものを思い出しました。
歌詞を掘っていったら、ちょっと発見があった
あまりに歌詞が良かったので、誰が書いてるんだろうと調べてみたんです。
ゆりかさんという方が手がけていて、HANAのJISOOさんやMOMOKAさんもメンバーへのヒアリングを重ねて歌詞を作ったという話が載っていました。
面白かったのが、ゆりかさんの他の作品を見に行くと、テイストがヒーローものというより恋愛寄りだったこと。だからこの曲も、お姫様の後ろにナイトがいて「君を守るよ」という話として聴くこともできるんですよね。
でも個人的には、もっと広く取っていいなと思いました。
「不安でいっぱいなワールド、一人で抱えないで」
「周りばっか気になって疲れちゃうよね」
このへんの歌詞、恋愛だけの話じゃないですよね。人として、周りの圧力みたいなものについて歌ってるように聴こえる。だから社会的なことも含んだ曲だなと思って、そこがすごくかっこいい。
しかもロックなんですよ。HANAがフィーチャリングで入ってるから、サウンドがしっかりロックしてる。これがまたいいんです。
「アイヤー」のところも好きです。最初なに言ってるかわからなくて、リズムかなと思ってたんですけど、ちゃんと歌詞なんですよね。
アウトロは単純にかっこいい
サビの話ばかりしましたけど、アウトロもいいです。
ここは正直、かっこいいんですよ。単純に。速いし難しいし、音がワン・ツー・スリー・フォー、チャチャチャチャって細かく入ってくるので、感動してる場合じゃなくてちゃんと刻まないといけない。そこが難しい。
ただ、ここにも意味があると思っていて。下を指差してるのは「私はここにいますよ」ってことなんじゃないかな、と。
実際、この曲には「あなたのそばにいることを忘れないでほしい」という意味のポイント振り付けがあるそうです。そう聞いてもう一回見ると、なるほどなって。
最後の締めもいいんですよね。煽ってる感じというか、ドンで割る感じ。振り付けのセンスがめちゃくちゃいいです。
MVの話——あえてアナログで撮ってる
ここからはMVの話です。
初見で見て思ったのが、昔の子供時代を思い出す感じ。特に男の子って正義感みたいなものが湧くじゃないですか。自分の世代だとセーラームーンとか。悪を倒す、みたいな。
「I Got Your Back」って直訳すると「あなたの背中は任せろ」ですけど、この曲では「私はここにいるよ」という安心させる言葉として使われてる。振り向けばいつもいて、背中を押してくれて、助けてくれて、安心させてくれる。すごくヒーローっぽい。
そこにこの古い質感の映像が合わさって、いい味を出してるんですよね。
CGを使ってるところもあると思うんですけど、あえてほぼ使わずアナログで見せていく方向だと思います。最後に出てくる横断幕とか、CGっぽく見えて実は本当に作ってるやつですよ、あれ。
タイトルからしていいんですよ。一周回ってかっこいい古臭さというか。オレンジ色が日焼けした写真みたいな色味で、不思議と懐かしい。
教室のシーンに伏線がある
学校のシーンで、机の上に何か書いてあるんですよ。止めて見てみたら、あとで出てくるゴジラみたいなやつが火を吹いてる絵が描いてある。しかも「HELP」って書いてある。
「ILLIT」って書いてある場所もいくつかあって、なぜかWONHEEの名前だけ書いてあったり、「THE MONSTER」みたいな文字も見えたり。伏線の張り方が細かいです。
あと机の上に鏡が置いてあるんですけど、これ最初「なんで?」って思ったんですよね。自分が学生だった20年ちょっと前だと、机に鏡を置いてる子って女子でもあんまりいなかったので。
このあたり、IROHAさんの「ずっと隣にいるよ」という歌詞と合わさると、ちょっとホラーっぽくもあるんですよ。ずっと見られてる、みたいな。でもILLITの良さってこういうところなんでしょうね。ちょっと怖さや狂気を含んだ感じ。
まあ基本的には怖い話ではなくて、ご先祖様が見守ってくれてるみたいな、そういう温かい意味だと思います。
ちなみにこの学校、本物の学校で撮影してますね。モザイクがかかってるので、実際に飾られているものにプライバシー配慮でモザイクをかけてる感じです。自分も学校の撮影に関わったことがあるのでわかります。
ゴジラから逃げる走り方が最高
MVの中盤、ゴジラみたいな怪物が追いかけてくるシーンがあります。
このゴジラ、たぶん不安の象徴なんですよね。周りばっかり気になってしまうこととか、見えない何かとか。ゴジラって元々は放射能の象徴として生まれた怪物だと思うんですけど、ここでは人間の不安を掻き立てるものの記号として使われてる。
で、注目してほしいのが逃げ方です。
普通、こういうシーンで演技するとなったら、全力ダッシュで必死に逃げるんですよ。撮影現場でもそう演出されることが多い。
でもこのMV、緩いんです。特にIROHAの逃げ方を見てください。喉が渇いて自動販売機に飲み物を買いに行くときの走り方ですよ、あれ。
最高です。この緩さがいい。
これ見てると、人生もそうかもなって思うんですよね。真面目であることはすごく大切なんだけど、不安に煽り立てられて、周りばっかり気にして、一人で悩み込んでしまうこともある。真面目に考えすぎちゃう。
でも、もうちょっと「まあいっか」ぐらいのスタンスでいくと、意外と戦えるかもしれない。この気楽モードくらいの方が、いい感じに人生いけるかもね、って。
クライマックスと、WONHEEの表情管理
終盤、一人ずつ技の名前が出てくる演出があります。レーザー流星とか、スターパワーとか。蝶々の技もありましたね。
HANAの2人がどういうポジションで登場してるのかは、正直ちょっと謎です。急に別世界から入ってくるので。でも「I Got Your Back」「I’m with you」——一緒にいるよ、という文脈で助けに来てくれる。そこはブレてない。
で、みんなで怪物を倒したあと、WONHEEが「セーブされた」みたいな表情をするんですけど、ここがね、すごいんですよ。
表情管理が絶妙。絶妙なスマイルから、ぎゅっと口を閉じる。この流れ。肘の伸ばし方もいい。
一般の方には伝わりづらいところかもしれないんですけど、この抜け感って表現としてすごく難しいんです。狙ってできることじゃない。肩とかも、こういうポーズを取ると普通は上がっちゃうんですけど、抜けた感じでやれてる。左足からの角度も、表情も、全部絶妙。
やっぱり天才ですよ、ILLITは。
WONHEEさんって笑顔のときと無表情のときの差がすごいですよね。歌ってるときは基本無表情。SNSに上がってる動画だとかわいい部分もあるんですけど、あの無表情の、クールというか、ちょっと拗ねてる感じ。あれがすごくいいです。
まとめ
正直、MVの世界観というかメッセージ性は、最後まで見てもちょっとよくわからない部分もあります。
でも歌詞にストレートなメッセージがあるから、すごく感動する。MVはあくまで抜け感があって、よくわからないけどいい感じ。この距離感がちょうどいいんですよね。
そして何より、振り付けです。
「隣にいる」というわかりやすい振り付け。素直な気持ちの表現。魔法少女のポーズ。サイドバイサイドの振り付け。全部が歌詞とつながってる。
自分も踊ってみて、本当に感動しました。だからこの楽しさを皆さんにもシェアしたくて、この記事を書きました。
ショート動画でサビ&アウトロの踊ってみたと、0.75x・0.6xのゆっくり解説も上げています。難しいところじゃないので、ぜひ一緒に踊ってみてください。
踊ると、わかります。
ではまた🏴☠️


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